モラハラとは何?実はみんな知らない本当の意味と特徴!
こんにちは。しゅんです。
モラルハラスメント。略してモラハラ。
この言葉はメディアでも取り上げられるようになり、一般の人にも知られるようになりました。
しかし僕は、本当のモラハラの意味と特徴を理解している人は少ないと感じているんです。
僕の考えをお話しする前に、モラルハラスメントの定義について説明しておきますね。
モラルハラスメントは、フランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌさんが提唱した概念です。
厚生労働省委託事業として一般社団法人日本産業カウンセラー協会が受託して開設された「こころの耳」というサイトの用語集では、モラハラは以下の定義になっています。
言葉や態度、身振りや文書などによって、働く人間の人格や尊厳を傷つけたり、肉体的、精神的に傷を負わせて、その人間が職場を辞めざるを得ない状況に追い込んだり、職場の雰囲気を悪くさせることをいいます。パワハラと同様に、うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。
パワハラとはどう違うのでしょうか
同じく「こころの耳」では、パワハラは以下の定義になっています。
パワーハラスメントの略で、職権などのパワーを背景にして、本来の業務の範疇を超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する言動を行い、就業者の働く関係を悪化させ、あるいは雇用不安を与えることをいいます。うつ病などのメンタルヘルス不調の原因となることもあります。
パワハラは、「職場で上の立場から下の立場の人間に対して、身体的・精神的な暴力を行うこと」と取れますね。
これに対してモラハラは、「立場に関係なく、いじめにより、精神的に苦痛を与えること」と取れますね。
しかし、ここまではあくまで言葉の定義レベルの話です。定義だけ読んで、分かったつもりになるのは良くないです。
よく、テレビドラマや小説では、夫から妻へ「誰のおかげで飯が食えると思ってるんだ」と怒鳴るシーンを見かけます。
モラハラについての浅い理解の作品には、こういったシーンが申し訳程度に挿入されています。
しかし、それを一回言ったからモラハラになるわけではありません。
妻が「そういえば、あなたにも昔こう言われたことがあるわね。うちもモラハラだ」と冗談交じりにいい、夫が「そうだな。ははは」と互いに対等に笑い合っているのであれば、問題ではないのです。
重要なのは、モラハラを受けている人が、「ある特定の精神状態」に陥っているかどうかだと考えます。
ここから先の記事は、モラハラに関する書籍を多数読んだ上での僕の意見になります。
実際にモラハラにあっている人の精神状態やモラハラを行う人についての精神状態について具体例を挙げながら分析し、深く探っていこうと思います。
単に言葉の定義や表面的な具体例の紹介にとどまらず、モラハラの本当の意味と特徴を知りたい方は、今後更新していく記事にお付き合いくだされば幸いです。
本当のモラハラを受けた人が陥る「ある特定の精神状態」とは?
本当のモラハラに遭っている人は、「精神的に八方塞がりになり、自由な意思決定を奪われた状態」になっています。
それはどういった精神状態なのか、ちょっと体験してみたくないですか。
新入社員になったつもりで、以下のエピソードを読んでみてください。
※このエピソードは僕の創作です。
あなたは新入社員です。
先輩が教育係となり、ある仕事に関してのOJTが行われました。
一言で言えば、PCを操作して情報を入力する仕事ですが、簡単ではないようです。
先輩は「これをああやってみて」というふうに、ざっくりとした説明しかしません。
怖そうな先輩ということもあって、「具体的にはどういうことですか?」と聞くことができません。
とりあえず、先輩が発した単語に関係のありそうなファイルを手に取ります。
しかし、やはりどうしたらよいかわかりません。
先輩は自分の仕事をせず、あなたの後ろで腕を組んで唇を結んで仁王立ちしており、ものすごく威圧を感じます。
しかし、あなたは学生時代、厳しい運動系の部活に所属していたので、怖い先輩にも慣れているつもりです。
あなたは勇気を出して質問することにしました。
しかし、「そんなこともいちいち説明しないと分からないの?」と言われました。
しかたなく自分でファイルを見ることにしました。
ファイルを見ているうちに、なんとなくやりたいことはわかってきました。
たぶん、この前研修でやったあの作業と同じようなことをすればよいのだと。
よし、と気を取り直し、作業に取り掛かりました。
「これをこうするので合っていますか?」と聞きました。
先輩は不機嫌そうに「まあ…」とつぶやきました。
一応、合っているようです。
そのまま進めていると、またよくわからない箇所が出てきました。
そこで、「分からないのですが、どこを見たらよいですか?」と聞きました。
先輩は、はぁーとため息をつき、「ファイルに書いてあるだろ」といいます。
(ファイルのどこに書いてあるのですか?)という意図だったのですが、さらに尋ねるのも口答えのように聞こえるかなと思い、自分でファイルを読むことにしました。
たぶんここかな、という個所を開いて読もうとすると、
「え?そこを見るの?」と呆れた顔で言い、またため息をつきます。
あなたはかなり緊張してきました。
「い、いや、どこをみればいいか教えてください」といいました。
「手取り足取り教えないと分からないやつだな」といい、
急に不気味な笑顔になり「仕方ない、俺がやってやるよ」といい、説明もせずに無言でPCを操作し始めました。
画面や操作の説明もせずに、さっさとやってしまうので、何をやったのかよくわかりませんでした。
「よし、今見てたよな?」
「は、はい」
「はい、っていったな。じゃあ今度はお前がやってみろ」といいました。
あなたは、どきっとしました。速すぎて何をやったのか分からなかったからです。
また、もう一度やってみろと言われるとは正直思っていなかったからです。
あなたは、パニックになりながらも、PCの前に座り、操作しようとします。
しかし、再現できるはずがありません。
先輩は「どうしてできないんだ。ボーと見てただろ。お前が仕事を舐めてるっていう証拠だよな」とぶつぶつつぶやくように言います。
「すみません…」というしかありません。
「すみませんといえば許されると思うな。できるまで終わらないからな」といいます。
どうやらやるしかないようです。
「え、えっと、確かまずこのボタンを押しておられましたっけ…?」
「はいはい、そう思うなら、そうすればいいでしょ」
「そのあと、この画面に数字を打ち込むのであっていますか?」
「どうしてそう思うの?」
「え?どうしてって…」
ここで逆質問されるとは思いませんでした。
なんとなく会話に違和感を感じながらも、
「えっと、○○だからです」
本当は先輩がさっきの操作で数字を打ち込んでいるように見えたので、それをそのまま言っただけなのですが、たぶんそう言うとまた怒られそうなので、あなたは正しそうに聞こえるようなことを言ってしまいました。
しかし、「それは、□□ということを言っているの?」と、また逆質問されました。
あなたは、適当なことを言わなければよかったと思いました。
しかし、何も言わなければ事態が前に進まないとも感じています。
「いや、違います」
「多分こういう理由だと思ったのですが、合っているでしょうか」
また、数秒の間があり、
「多分とか言ってるようじゃ話にならないね」とあざ笑うような表情で言います。
あなたは緊張だけでなくフラストレーションも感じてきました。
このままでは日が暮れてしまいそうです。先輩自身は自分の仕事は大丈夫なのでしょうか。目的は何なのか不明です。
世の中には質問を繰り返し、答えさせることで自分で考える力を身に着けさせようとする手法があることはあなたも知っています。
しかし、この先輩にはそういった意図があるとは思えませんでした。
「つまり、こうしておけば、良いということですか!?」とあなたも少しいらだった口調で言ってしまいました。
「ふん。俺がせっかく教えてやってるのに、口答えするのか。そんなやつにはもう教えない」
と言われてしまいました。
この後、先輩に口答えする生意気な新入社員だという噂を流され、職場にいづらくなってしまいました。
エピソードはここまでです。
まとめ
この新入社員の気持ちを想像していただけたでしょうか。
「精神的に八方塞がりになり、自由な意思決定を奪われた状態」とはこういうことなのです。
重要なエキスだけ取り出してまとめると次のようになります。
こうやったら、こう言われるだろう。
かといって違うことをしても違うことを言われるだろう。
かといってどうすればいいか聞いたら、そんなこともわからないのか、と言われるだろう。
かといって自分なりに判断して行動すれば、なんでそんなことをした!?と怒られるだろう。
かといって何もしなくても当然怒られるだろう。
時間は刻々と過ぎていく。
ついに切羽詰まって、自分でも確信が持てないまま、間に合わせのような行動をしてしまった。そして結局、怒られる羽目に…
この精神状態は、夫婦間、学校、職場と環境が違っても、モラハラを受けている人に共通のものです。
ここまで読んでくださったあなたは、モラハラの被害者の心理について、ある程度イメージできるようになったのではないでしょうか。
それともうひとつ気づいてほしいことがあります。
このエピソードには、あからさまな暴言や暴力が出てきたでしょうか?
出てこなかったですよね!
つまり、モラハラはあからさまな暴言や暴力ではなく、どうとでもとれるほのめかしで人を追い詰めていくものなんです。
このことを伝えたいがために僕はこの記事を書きました。
モラハラを正しく理解できる人が一人でも増えてくれるとうれしいです。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
それで・・・なのですが・・・
もしかしたら、今回のエピソードについて、新入社員の側にも問題があるのではないかと言いたくなった方もおられるかもしれません。
そんなあなたは、将来、自分の大切な人にセカンドハラスメントをしてしまうタイプかもしれません・・・。
そこで、次回はセカンドハラスメントについて紹介します。
悪意なく人を傷つけてしまう人が減ることを願って書いた記事です。
お楽しみに。