【体験談】チック症で損したこと、得したこと【大人の当事者が語るよ】
こんにちは。しゅんです。
私は小学生の頃にチック症を発症しました。
チック症とは、目をぱちぱちしたり、首を振ったりといった行動を繰り返す病気です。
アッ、アッと声を出したり、叫んだりする症状もあります。
あなたも電車やバスでそういった方に出くわした経験があるのではないでしょうか。
20代後半まで生きてきて、チック症で得したことも損したことも両方あります。
そこで今回は、チック症の当事者や子供を持つ親御さんに向けて、チック症の生かし方について書いていきたいと思います。
もくじ
しゅんの症状は?
大人になった現在の私の症状は以下の通りです。
- 目をぱちぱちする
- 首を頷くように振る
- 叫び声を出す
チック発症したときのこと
チック症を発症したときのことは今でも覚えています。
小学校一年生の時に、コマ遊びをしていました。
そのときに、ふと、喉を鳴らしたくなる衝動にかられたのです。
しゃっくりのような感じだといえば伝わるでしょうか。
鳴らした後、しばらくすると、またムズムズした気持ちになり、また鳴らしたくなります。
一緒に遊んでいた女の子が「しゅん君、しゃっくりしてるんだね」と笑いました。
僕は内心違うんだけどな、と思いながらも「そうだよ」と言っておきました。
その日は家に帰ってからも、ずっと喉鳴らしをしていました。
しないと、なんだか気持ちがムズムズしてくるのです。
自分でもどうしちゃったんだろうと思っていました。
悪化していく症状
そのあとも、症状は悪化していきます。
小学校3年生の頃が一番ひどかったと思います。
こんなに症状がありました。
- 目をぎゅっとつぶったり、素早く瞬きを繰り返す
- 首を左右前後に大きく振る症状(首が寝違えたときのように痛かったです)
- 授業中に手首をポキポキいわせる症状
- 手の甲の肉をつまむ症状(皮膚が黒ずんでいました)
- 顔をしかめ、口もすぼめる
- のどからン、ンという音を出す癖。
流石にここまでひどくなると、親もこれはただごとではないぞ、と気づいたようで小児科に行きました。
小児科で薬をもらったけれど治らない・・・
小児科の先生から聞かされるまで、親はチック症という病気を知らなかったようです。普通はそうですよね。
それで、セレネースという薬をもらいましたが、親から見てあまり効果はなかったようです。
(ちなみにセレネースは製品名で、薬品名はハロペリドールといいます。)
というのは小学生だったので、私は自分の症状の変化についてそれほど意識していなかったからです。
当時のことを母に聞くと「精神科系の薬なんて、自分の子供に飲ませたくなかった」といっていました。
それが親心なのでしょう。すぐに薬は飲まなくなっていきました。
それから大人になるまで、ほとんど治療というものをしておりません。
そもそもチック症は治らない病気だといわれています。
大人になった今でこそ症状が落ち着きましたが(最初に書いた3つの症状のみです)、中学生、高校生くらいのときにはいろいろな経験をしました。
ではいよいよチック症で損したこと、得したことについて書いていきたいと思います。
チック症で損したこと
チック症で損したことを紹介します。
真似される
これはもう定番でした。
特に真似されたのは、まばたきですね。
無言で顔を近づけてまばたきを真似してくるような猛者もいましたw
うるさいといわれる
授業中やテスト中にも、のどを鳴らす癖が出てしまいました。
これは当然うるさい!と言われてしまいますよね。
当時の私は負けん気が強かったので、「静かだったとしても俺よりいい点数とれないくせに」と心の中で言い返していました。
とはいえ、音声チックは周りにも迷惑をかけてしまうところが非常に厄介ですよね。
目障りだといわれる
これも授業中の話なのですが、首を横に振ったり、うんうんとうなづくと、後ろの席の人には結構気になるようです。
それほど激しくなくてもです。
確かに自分が後ろの人の立場だったら、気が散ると思います。
あきらかに私のことを指して、目障りだと噂している声が聞こえてきました。
眠たいのかと勘違いされる
これまた授業中なのですが、首を頷くように振り、目をぱちぱちしたり、細めたりしていていました。
これは教師から見てどのように見えると思いますか。
そうです。眠たくてこっくりこっくりしているように見えますね。
「なんだ、お前眠いのか!」と誤解されて怒られてしまいました。
当時は成績が低かったため、余計怒りを買っているのではないかと考えたりして、びくびくしていました。
見当違いのことを言われる
子供がチック症のような神経症になるのは、母親の育て方が悪いのだという考えの人が未だに根強くいます。
冷たく厳しく育てたからだとか、反対に過保護で甘やかしたからだ、というお決まりのやつです。
なぜ「甘やかしたからだ」という思考になるのかは意味不明ですね。
たくましく育てなかったから、そんな繊細な病気にかかるのだとでもいいたいのですかね?
ちなみにチック症は、脳内のセロトニンという物質の欠如が原因で、これは生まれつきの脳の特性なので、育て方とは関係ありません。
チック症の説明で、違うなと思うこと
この前仰天ニュースで、チック症の当事者のドキュメンタリーをやっていました。
そこで、「チック症は本人の意思とは関係なく無意識に出る症状」だという説明の仕方をされます。
しかし、わたしはちょっと違うなあと思っています。
チック症は、半分無意識、半分意識的だという感じです。
自分が今、チックの症状を出したいというのは認識しているんです。
我慢することもできるんですよ。でも、そうすると気持ちも体もムズムズしてきてたまらなくなるんです。
それでチックの症状を出すと、解消されるのです。
いってみれば、「かゆみ」のようなものですね。
完全に無意識にやってしまうという表現は、チック症の人がなんだか知らないうちに人を傷つける可能性があるのかという誤解を与えてしまうと思います。
仰天ニュースは良い番組なので、より正確に伝えていってほしいなと思いました。
まあ、まばたき程度なら、無意識に行っているかもしれませんけどね^^
チック症で得したこと
次はチック症で得したことについてです。
友達ができた
え?と思われたかもしれません。
なんでチック症で友達が増えるの?と。
これも実は、うなづきチックのおかげなのです。
どういうことか説明します。
中学校に入学して間もないときに、まだ話したことのないクラスメイトと廊下ですれ違いました。
そのとき、頷きチックが出ていたんですね。もちろんクラスメイトに向けて意識したわけではありません。
しかし、相手も反応してうん、うんとうなづいて「ああ、しゅん君か。よろしくね」といってくれました。
私は突然のことに驚いて「あ、よろしく」とつっかえて言いました。
その友達とは波長が合って、仲良くなりましたね。
可愛いといわれた
目をぱちぱちしたり、首を小刻みに動かしたりするのが、女の子から可愛いといわれたことがあります。
今、爆発しろ!と思った方もいるかもしれません。
ただし、恋人がチック症である人の苦悩もあるみたいですがね。
繊細そうに見られる
チック症をもっていると繊細そうに見られます。
チック症という病名を知らなくても、「この人は神経質そうだな」「緊張しているのかな」と思われて気を遣ってもらったり、この人にあまり強く怒ったりしてはダメだと思ってもらえます。
学校の先生方の一部は、チック症を知っていたりするので、そういう先生が担任になると安心ですね。
まとめ
今回は、私のチック発症の経緯とチック症で損したこと、得したことについて書きました。
チック症では、学生時代にからかわれたりすることも多いです。
しかし、友達を作ることも可能ですし「これはおれのくせなんだ」と周りに言っておけば分かってくれる人もいます。
「あいつはチック症っていう病気らしいけど、良いやつだぞ」という評判を作っておけば、むしろ有名人になれます。
また、大人になると症状は落ち着いてくる人も多いので、今学生で症状がひどい人も、将来を悲観しすぎる必要はありません。
チック症は悪いことばかりではないんだよ、ということを知っていただけたら嬉しいです。